『めりーくらぶ』 
    
 
(連絡先)

子育て支援センター ネットワーク「ぽけっと」(岩国市川西1−1−13)
   担当:森宗・木村・貞弘・庭田
TEL:41−0170
FAX:41−0190

 

*助産婦川口一美さんのアドバイス


    1:ほんとうにおっぱいだけでいいの?
        そしていつまでおっぱいだけでいいのですか?


 おっぱいには充分な栄養、そして水分が含まれています。湯さましや果汁など与える必要はありません。お母さんが、いろんな食べ物を食べると、それが乳ごしとなって、赤ちゃんはいろんな味やにおいをすでに味わっています。赤ちゃんは大人が思っているより、ずっと感覚が鋭敏なのです。

 おっぱいだけで育った赤ちゃんも、いつか必ず食べ物を食べ始めます。大人になるまでおっぱいしかのめない人はいないでしょう?必ず食べ物に興味を示す時が来るはずです。個人差があるので、それがいつとは言えませんが、お母さんならわかるはず。みんなで楽しく食事をしている時に、お口をモグモグさせて、ヨダレをダラーッとたらして“美味しそうだなあ、みんな何を食べてんのかなあ、ボクもほしいよ−”といわんばかりに近寄ってきたら、それが離乳食開始の合図です。ちょっとジラすぐらいのほうがいいですよ。そこではじめて、スプーン1匙から…と初めてみましょう。最初に与える食べ物は、たとえばお母さんが食べているお味噌汁の中の具。充分柔らかくなったじゃがいもなんかどうでしょう。しっかりつぶして、お汁でうすめて、はいどうぞ!パクッと食べて、“うーん、なんておいしいものがこの世にあるんだろう。”なんて顔をしたら大成功です。でもまだですよ、ジラして次の日2匙あげましょう。たんぱく質(卵、牛乳など)はアレルギーの問題があるので、あまり急いであげないほうがいいようです。 

 基本的に、お母さんがおいしく食べる、その姿をみて赤ちゃんもおいしく食べることを学んで行きます。お母さん自身がいろんな食品をバランス良く、おいしそうに食べることが、必要ですね。


    2:おっぱいが張らなくなりました。
            出なくなったんでしょうか?


 ちょっと待って!そう判断するのはまだ早いのです。

 張ってこないと、どうもたよりなくて、ほんとうに不安ですね。そんな時に限って赤ちゃんはおっぱいに吸い付いてもすぐはなし、ギャー ギャーと泣きわめく。こりゃ絶対出てない!出ているはずがない!と思えるのも無理はありません。ミルクを買ってきて飲ませてみようか、そんな思いが頭の中をよぎりますね。でも落ち着いて、そんな時はちょっと深呼吸。赤ちゃんもお母さんも気分転換をはかりましょう。実は、おっぱいが充分出ていても、そんな時があるのです。

 張ってこないのは赤ちゃんの飲む量とおっぱいの出す量に“おりあい”がついてきた証拠。性能のいいおっぱいに変身したのです。もちろん人間の体のことです。赤ちゃんの飲む量におっぱいの出す量が追いつかない時もあるでしょう。おっぱいを頻繁に吸う刺激がこんどはおっぱいの出す量を増やしていくのです。どうぞ、自分の体を信じて、あかちゃんを信じてしっかりおっぱいを吸わせてあげて下さい。

 今のあなたのおっぱいは赤ちゃんが吸いついた時だけブワーッと沸いて出る性能のいいおっぱいになってきたんです。赤ちゃんが吸い付いてしばらくしたら、ちょっとおっぱいがチリチリと痛くなって、反対側のおっぱいから自然にあふれて出てくる、そんな感じがあれば大丈夫。その時おっぱいが蛇口全開で出ているのです。よーく自分のおっぱいに聞いてみましょうね。


    3:うちの子よく泣くんです!

 “うちの子ってほんとよく泣くし、あんまり寝ないんです。どこかおかしいんでしょうか?”

 “赤ちゃんって、おっぱいを飲んだらすやすやと寝てくれるはずでしょう?寝ないってことはおっぱいがたりてないのかしら?”

 初めてお母さんになられた方が、かならずと言っていいほどこんな事を口にされます。赤ちゃんってよく寝るものなんだ!というイメージが強いばっかりに、いざわが子を育ててみるとそのギャップに驚いてしまう、というわけのようです。赤ちゃんだって1人の人間です。個性があります。よく寝る子もいれば、あまり寝ない子だっています。よく寝るはずだという1つのイメージにあてはめるほうがムリなのです。それに生まれて間もない頃より、日にちがたっていくと、ますます起きている時間が長くなっていきます。それだけ赤ちゃんも成長し、知恵がついていくのです。起きている時は、意識がはっきりしている時。外界の様子がスムーズに赤ちゃんの脳に取り入れられる時なのです。どうぞ、その時に、しっかり赤ちゃんに話かけてあげてください。しっかり関わってあげてください。だんだん赤ちゃんが何を考えているか、わかるようになりますよ。

 反対に、この子が寝ないとなにもできない、と焦り、イライラしていると、赤ちゃんまでイライラし、ますます寝てくれなくなります。寝かせよう、寝かせようと思わないことです。

 目の前にいるその子をありのまま受け入れ、隣の誰かさんと比べることなく、あせらずのんびりとかまえることが必要ですね。赤ちゃんって実はあんまり寝ないんだ、と開き直ると、案外今度は逆にすんなり寝てくれたりするもんです。試してみてください。


    4:おくすりを飲む時はおっぱいをやめなくてはいけないの?


 おっぱいをあげている時期に、お母さんが風邪をひいたりして体調をくずすことは、時々あると思います。そんな時おっぱいをあげているからという理由でおくすりを飲まずにがんばった、なんていう話をよく耳にします。そんなにお薬って猛毒なのでしょうか?

 お母さんが飲んだお薬が、おっぱいに移行して赤ちゃんの胃袋に実際に入る量は、わずか1%なのだそうです。一般に市販されているお薬だと、ほとんど問題のない量です。

 点滴や静脈注射を受けた時はどうでしょう。基本的に、消化管から吸収されにくい薬物をそのような方法で投与するわけですから、たとえおっぱいを通じて赤ちゃんの胃袋に入ったとしても、吸収されることなく排泄されます。

 では、“このお薬を飲む間は母乳を止めて下さい。”と医師に指示されたら?

 おっぱいはそんなに簡単に止めたりまた始めたりはできません。それが母と子にとってどんなに大変でつらいことなのか、その先生はご存じないのでしょう。おっぱいを吸わせないでいると、たちまち張って痛んできます。おっぱいを張らせるということはおっぱいを出すなというサインを送っているということなのです。断乳する時にはそうやって張らせて止めるのです。再びおっばいをあげてもよいと言われてもその時にはもう分泌量がガクンと減ってしまっているはずです。赤ちゃんだって大好きなおっぱいを取り上げられ、どうしたことかと不安定になってしまうでしょう。ここは勇気を持ってその先生に、どうしてもおっぱいを続けたい旨をはっきり伝えましょう。すこしでも影響がすくないと考えられるお薬に変えて下さるようであれば、その先生とは長いおつきあいができるでしょう。。
でもダメの一点張り、はたまた“どうなっても知らんよ”などと脅かされるようなら、ハイさよならをしたほうが良いですね。

 医師の気持ちには、このお薬を投与して、赤ちゃんにどのような影響があるのか実のところよくわからない、よくわからないことは中止したほうが無難だ、なにかあった時に自分には責任がふりかからないから…という背景があるのです。

 ほんとうにお母さんと赤ちゃんのことを考えてくださる医師が増えることを望みましょう。お母さん方は選ぶ権利があるのです。

 風邪をひいても発熱してもそんな事ぐらいでおっぱいを中止することはありません。
 お薬で少しでも楽になれば、市販薬であればまず大丈夫!ただし量を守る、授乳後に内服する、等の工夫は必要です。
 そしてほんとうによいホームドクターを探しておく事ですね。



    5:乳腺炎になったらどうしよう。


 おっぱいの一部が堅くしこって赤く腫れひどく痛む。そんな状態が乳腺炎です。おっぱいの中にバイ菌が入り、炎症をおこしてしまったのです。
 こんな状態になったら、なかには、よいおっぱいが出ないから赤ちゃんには飲ませないほうが良いと思っている方がいます。これではますますおっぱいが乳腺にたまり痛みはひどくなるばかり…炎症が悪化していきます。

 
こんな時こそどんどん飲ませましょう。痛い所は部分的に冷やすと良いでしょう。それだけでもおさまることもありますが、病院にいって抗生物質と消炎剤などもらうと完璧です。自分ではあまりおっばいを揉まないほうがよいでしょう。乳腺を傷つけてはいけません。

 そして
予防、これが一番です。5〜6時間以上もおっぱいの間隔をあけないようにする。要はよく吸ってもらう事です。お宮参りや結婚式があったからと、あまり吸わさなかった後によく乳腺炎になるようです。どこに行くにも赤ちゃんと一緒。こうすることでお互いがベストの状態でいられるわけです。うまくできているでしょう?



   6:仕事を始めると、おっぱいを止めなければいけないの?  


 “仕事を始める”イコ−ル“おっぱいを止める”と多くの方は思っています。“だって、昼間離れているのに無理でしょう?おっぱいだって出なくなるのにきまってる!どうせミルクにするのだから、最初からミルクでいいのよ。”と断言される方さえいます。

 実際、保育園からもおっぱいを止めておいてくださいと指示されることが多いようです。でもほんとうにそうでしょうか? まず最初に言えるのは、要はお母さんの気持ち次第であるということです。おっぱいで育てたいという気持ちを持てば、それは可能です。可能というよりむしろ、仕事をしているからこそ、おっぱいで育てるほうがいいとさえ言えるのです。 

 おっぱいタイムは母と子の大切な触れ合いタイム。誰にも邪魔されることのない貴重な時間です。お仕事をしているお母さんとしばらく離れている分、一緒にいられる時間は充分なスキンシップをはかってあげることが必要です。おっぱいをあげることでそれが簡単に実現できるのです。赤ちゃんも気持ちが落ち着き、そして元気に育っていくのです。 

 問題はあなたの職場と保育園の対応ですね。仕事中の休憩時間におっぱいを絞る場所を確保できるか、そして絞った母乳をすみやかに冷凍保存できる設備があるかどうか(といっても普通の冷凍冷蔵庫でいいんですが…)

 そうやって苦労して絞った母乳を保育園に持って行っても、それを解凍して、適温に暖め赤ちゃんに与えてくれる保母さんがいるかどうか。あなたの身近にそうやって赤ちゃんを育てた方がいればラッキ−ですが、あまり期待はできませんね。もしかしたらあなたが開拓していかなくてはならないのかもしれません。何事も最初に道を開いていくのは大変な事です。でもやってみる価値はあると思います。できるだけ工夫をして、そしてまわりにも協力を求めて、納得のいくまで、おっぱいで育ててみませんか?



   7:断乳と卒乳 どっちがいいの?  


 今の世の中、おっぱいは1歳前後に止める、というのが常識になっているようです。
その証拠に、1歳半健診でおっぱいをまだあげていることが判明すると、“虫歯になるよ、歯並びが悪くなるよ!”と恐ろしい脅迫がはじまります。
たしかに、断乳することでよいこともあります。夜よく寝るようになったり、食事の量がすすんだり…それにお母さんの気持ちも、ちょっぴり寂しいけれど、子育ても一段落したような安堵感があったりします。
でも、そうなるまでが大変だし、いきなり大好きなおっぱいを取り上げるのはかわいそう、そんな理由でなかなか断乳できないお母さんもいます。
お気の毒にも、そんなお母さんは小さく隠れるようにしておっぱいをあげているのです。

 実のところ、どちらがいいのかはっきりとした答えはありません。
赤ちゃんの性格も一人ひとり違うし、お母さんもまたしかり、育児環境も違います。ただ一つ言えるのは、おっぱいを長く吸わせたからといって、赤ちゃんに悪い影響は何も無いということです。
虫歯については、母乳自体が悪いのではなく、砂糖分との相性が悪いとのことで、それを気をつければ大丈夫。
お祖母ちゃんにもよく頼んでおきましょう。
歯並びについてはむしろ、おっぱいをしっかり吸わせたほうが顎を使うので良くなる、というのが歯科医の見解です。
赤ちゃんがどうしてもおっぱいから離れなければ、無理をしてまで離す必要は無い、といえるのではないでしょうか。
乳離れをさせる、のではなく、乳離れするまで待つ、という方法もあるのです。
誰に何と言われても、人に迷惑をかけるわけじゃなし、赤ちゃんがもういい、と言うまでおっぱいをあげてもいいのです。

 人が生まれて、おっぱいに吸いつくことができる期間は一生のうちでもほんの短いわずかな期間です。
それを一年以内と決め付ける根拠は何もないのです。
いずれにしても、おっぱいをいつ止めるかを決めるのは赤ちゃんだと考えてみてはどうでしょう?

 もう一点知っておいていただきたいのは、おっぱいと妊娠との関係です。
おっぱいをあげている間は排卵が抑制され、間のあかない妊娠を避ける仕組みになっています。
それでも思いがけない次の妊娠を経験することもあります。
そんな時、周囲からおっぱいを止めるよう指示されることでしょう。
しかし、実はこれもまた、はっきりとした科学的根拠があるわけではないのです。
現実におっぱいをあげながら、次のお子さんを妊娠し、無事に出産、2人ともおっぱいをあげている方もいらっしゃいます。
戦前の日本には、こんなお母さんも多くいたことでしょう。
当時のほうが今より母子関係がしっかりしていたように思いますがいかがでしょう?   


   8:お父さん、お祖母ちゃんへ、お願い!  


おっぱいサポ−タ−になってください
  お母さん方は不安なんです。
  側で、大丈夫だよ、と支えてあげてください。
  落ち着いて、リラックスすることが一番なのです。
  お母さんを一人にしないでください。(気持ちの上で…)

おっぱいをあげている時に、言われて一番傷ついた言葉は?

  よう泣くね!
  ほんまに出ちょるんかね?
  足り取らんのじゃないん?


  この3つの言葉だけはかけないでください。

お母さんと赤ちゃんの自然の力を信じてください

 お母さんと赤ちゃんが違えば育児方法も千差万別。
 自分の時はああした、こうした、というのはあまり役にたちません。
 大切なのは、どんな方法でも、それがその人の育児なのだということです。

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